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林 諒成長企業の社外CFO / 税理士

財務戦略

なぜ事業計画は作るのに、財務戦略は作らないのか。

著者:林 諒(税理士・社外CFO)

事業計画と財務戦略は別のものです。事業計画は「何をどれだけ売るか」を描き、財務戦略は「それを実行するために、いつ・いくらの資金が必要で、どう調達し、どう返すか」を設計します。多くの会社は前者だけを作り、後者を作りません。その結果、成長機会が来たときに資金が用意できず、事業計画そのものが実行できなくなります。

  1. 01

    事業計画は売上と利益の計画。財務戦略は資金の調達と返済の設計。

  2. 02

    会社は成長するほど、売上が立つ前に必要となる支出が大きくなる。

  3. 03

    財務戦略がないと、投資できる金額を銀行が決めることになる。

経営者の方とお話ししていて、ほぼ必ず出てくる資料があります。事業計画です。3年後の売上、粗利率、主要な施策。多くの会社が、これを作っています。

一方で、ほとんど出てこない資料があります。財務戦略です。その事業計画を実行するために、いつ、いくらの資金が必要になり、それをどこから調達し、どう返していくのか。この設計図を持っている会社は、私の経験ではかなり少数です。

事業計画と財務戦略は、別のもの

事業計画は「何をどれだけ売るか」を描くものです。市場、商品、価格、チャネル、人員。売上と利益の見通しを立てます。

財務戦略は「それを実行するために、いつ・いくらの資金が必要で、どう調達し、どう返すか」を設計するものです。運転資金、投資資金、返済額、調達時期、金融機関の役割分担。資金の流れを設計します。

この2つは連続しています。事業計画で「来期は採用を10名増やす」と決めたなら、その人件費は売上が立つ前に発生します。「新拠点を出す」と決めたなら、保証金と内装費が先に出ていきます。事業計画の一行一行に、資金の裏付けが必要です。

会社は成長するほど、先に必要となる資金が大きくなる

創業期は、社長の営業力と判断のスピードで伸びます。1億、3億、5億と伸びていく段階では、資金の問題はそれほど表面化しません。案件も小さく、回収も比較的早いためです。

ところが規模が大きくなると、構造が変わります。採用費が増え、広告費が増え、仕入資金が増え、固定費が増える。出店資金が必要になり、設備投資が必要になり、大型案件では運転資金が数か月分先行します。

つまり、売上が立つ前に出ていく金額が、売上の伸び以上のスピードで大きくなっていきます。ここで財務が追いつかなくなります。

財務戦略がないと、投資額を銀行が決めることになる

財務戦略がない会社の意思決定は、たいてい次の順番になります。決算が出る。銀行に持っていく。いくら借りられるか聞く。その範囲で投資を考える。

この順番だと、投資できる金額を実質的に銀行が決めていることになります。経営戦略が、たまたま調達できた金額の範囲まで縮んでしまう。

順番を逆にする必要があります。何を実現したいかを先に決め、それを数字にし、いつ・いくら必要かを出し、その資金を調達できる財務体質と銀行取引を先につくる。そのうえで調達し、投資する。

では、何から始めるか

最初にやるべきは、資金調達の相談ではありません。3年後に実現したい姿を数字にすること、そして現在地を数字で正確に把握することです。

この2つが揃うと、いつ・いくら足りなくなるかが自動的に出てきます。不足額が分かって初めて、決算書をどう設計するか、どの金融機関にどの役割を担ってもらうかという話ができます。

事業計画を作る力がある会社は、財務戦略も作れます。単に、作るものだと認識されていないだけです。

実務ガイド

銀行融資と資金調達の実務

ここで述べた考え方を、実際にどう進めるか。評価される、条件を良くする、設計する。8本の実務ガイドをこの順で整理しています。

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本記事は、実務経験にもとづく一般的な考え方を示すものです。個別の税務判断、および融資の可否・金額・条件については、会社ごとの状況および金融機関の判断によって異なります。実際のご判断にあたっては個別にご相談ください。

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