社外CFOは、具体的に何をする人ですか。
会社の資金をどう調達し、どこに配分し、その結果をどう管理するかを設計し、実行に伴走します。記帳や税務申告の代行ではなく、その手前にある意思決定そのものを扱う役割です。
会社の状況によって、この全部を担うこともあれば、資金調達と銀行対応だけを担うこともあります。重要なのは業務範囲の広さではなく、経営者が今どの判断に確信を持てていないかです。
- 財務戦略の設計(必要資金の逆算、投資と回収の設計)
- 資金調達(銀行融資の戦略立案、金融機関との交渉、調達手段の使い分け)
- 銀行取引の設計(取引金融機関の構成、借入条件、保証と担保の整理)
- 決算書の設計(将来の調達力から逆算した数字の作り方)
- 管理会計(予算、予実管理、資金繰り、KPI)
- 経営会議の設計と運営
なぜ、財務戦略がそこまで重要なのですか。
成長し続ける会社と、途中で止まる会社を分けているのが、次の成長ステージを見据えた財務戦略の有無だからです。これは理屈から導いた仮説ではなく、M&Aの現場で企業価値の評価に関わり続けた結果として残った、たった一つの共通点でした。
林 諒は、KPMG税理士法人のM&A専門部署で約4年間、150社以上の財務・税務分析を担当しました。企業価値が高く評価される会社に共通点はあるのか。売上利益の成長率、業種業態、ビジネスモデル、優秀な人材の人数、マーケティング戦略、市場の成長性、経営者の能力——考えられる観点をすべて当てて分析を続けましたが、どれも共通点ではありませんでした。30社、50社、100社と分析を重ね、延べ10,000時間以上を投じても、糸口は見つかりませんでした。
転機は、業界首位の企業が買収を検討している一社を担当したときでした。その会社には一つだけ、他と違う特徴がありました。金融機関との取引を自社主導で、しかも次の成長ステージを見据えて戦略的に行っていたのです。毎年まとまった融資を受け続け、その資金を必要なリソースへ重点的に投資し、人も店舗も増え続けていました。元は一地方企業でしたが、全国展開が現実的に期待できるところまで成長し、その点が評価されて大型買収が決まりました。
この視点で過去に担当した企業を分析し直すと、企業価値が高く評価された会社のほとんどで、同じことが起きていました。自社主導で金融機関との取引を戦略的にマネジメントし、金融機関から将来を高く評価され、毎年のように億単位の融資を受けながら、積極的な事業投資を継続していたのです。
社外CFOという職能そのものの一般的な説明ではなく、林 諒がこの領域を専門にしている理由の説明です。
税理士や会計士とは、何が違いますか。
扱う時間軸が違います。税務顧問が扱うのは、すでに終わった一年の数字を正しく確定させることです。社外CFOが扱うのは、これから先の数字をどう作るかです。
この違いは優劣ではありません。税務申告は法律上必要な手続きであり、正確に行われなければなりません。顧問税理士は、過去の数字を正しく集計・管理し、正確な納税額を計算することを役割としています。
一方で社外CFOが担うのは、将来にわたって社長が自由に使えるキャッシュを最大化し続ける仕組みを構築し、連続的な事業成長を実現する財務戦略を会社に導入することです。役割がまったく別なので、顧問税理士を解約する必要はありませんし、実際に併用されるケースのほうが多くなります。
年商が3億円を超えたあたりから、経営者が直面する問いは「この処理は税務上どうなるか」から「この投資をするために、いつまでに、どこから、いくら調達するか」へ移っていきます。後者に答える役割が社外CFOです。
| 税務顧問 | 社外CFO |
|---|---|
| 過去一年の数字を確定させる | これから先の数字を設計する |
| 税法上の正確性が判断基準 | 資金調達力と成長投資が判断基準 |
| 決算・申告が成果物 | 財務戦略と実行が成果物 |
| 年に数回の関与が中心 | 月次あるいはそれ以上の継続関与 |
| 納税額を適正にする | 社長が自由に使えるキャッシュを増やす |
AIが進化しても、外部の専門家に頼む意味はありますか。
会計税務処理、数字の分析、申告書の作成といった作業と知識の領域は、AIによって代替されていきます。残るのは入口と出口、つまり課題を掘り出す部分と、解決策を実務に落とし込んで実装する部分です。
入口とは、経営者が本当に求めていることや課題は何かをヒアリングして引き出し、それを紐解いて適切な解決策を導くために必要な資料を集め、整理することです。出口とは、その解決策を、どのレベル感で、どうやって現場に落とし込むかです。
ここができなければ価値は出ませんし、ここができればAIがさらに進化しても必要とされ続けます。逆に言えば、真ん中の作業と知識だけを提供している専門家の価値は、今後も下がり続けます。社外CFOを選ぶときも、この入口と出口に踏み込む相手かどうかを見てください。
費用はどのくらいかかりますか。
関与の深さで決まります。公開されている各社の料金を見ると、月数回の相談を中心とする形で月額10万円前後、実務まで踏み込む形で月額20万円から50万円、経営の意思決定に継続的に関わる形で月額50万円以上が、おおよその水準です。
金額の差は、訪問回数の差ではなく、責任範囲の差として理解するのが実態に近いと考えています。資料を見て助言するのか、金融機関との交渉に同席するのか、経営会議で意思決定に関与するのかで、必要な関与量が変わるためです。
| 関与の形 | 月額の目安 |
|---|---|
| 相談・レビュー中心 | 10万円前後 |
| 財務実務まで担う | 20万円〜50万円 |
| 経営の意思決定に関わる | 50万円〜 |
上記は公開されている各社の料金表から見たおおよその水準であり、特定の調査に基づく統計値ではありません。林 諒のサービス料金は各サービスページに明示しています。
どの年商規模から必要になりますか。
年商3億円前後が一つの目安です。この規模を超えると、成長投資の金額が自己資金の範囲を明確に超え、資金調達の巧拙が成長速度を直接左右するようになるためです。
優秀な経営者であれば、年商10億円あたりまでは自らのマンパワーで到達できます。問題はその先です。10億円を超えると会社の成長フェーズが大きく変わり、社長個人の力の延長では届かない領域に入ります。ここで財務が経営戦略に追いついていないと、伸ばす力のある会社でも成長が止まります。
ただし規模だけで決まるものではありません。年商10億円でも経営者自身が財務を設計できている会社もあれば、年商3億円で既に判断材料が足りなくなっている会社もあります。実務的には、次の状態が複数あてはまるかどうかが判断材料になります。
- 売上も利益も伸びているのに、預金残高が増えない、あるいは減っている
- 月末の支払いに、いつも不安がある
- 銀行から借りられる金額が、以前より減ってきた
- 追加融資が通りにくくなった、あるいは条件が悪化してきた
- どれだけ広告費や採用にお金を使えるのか、判断の基準がない
- 金融機関とのやりとりが、決算後と資金が足りないときだけになっている
- 投資判断のたびに、資金が足りるかどうかを感覚で決めている
- 気がつくと利益率が低下していた
常勤のCFOを採用するのと、どちらがよいですか。
常勤CFOを採用できるのであれば、そちらが望ましい形です。社内に日常的に数字を見る人がいることの価値は、外部関与では完全には代替できません。
現実的な論点は、採用できるかどうかです。財務戦略と銀行交渉の両方を担えるCFO人材は市場に多くなく、報酬水準も相応に高くなります。加えて年商10億円前後の段階では、常勤で置くだけの業務量がまだない場合もあります。
社外CFOは、常勤CFOの下位互換ではなく、常勤CFOを置ける規模に到達するまでの期間、財務の意思決定機能を確保するための選択肢だと考えています。将来の採用を前提に、社内に仕組みを残す形で関与することもできます。
選ぶときに、何を見ればよいですか。
自社と同じ規模帯・同じ局面での支援実績があるかを最初に確認してください。年商1億円の資金繰り改善と、年商10億円のバンクフォーメーション設計は、必要な知識も金融機関との関係も別物です。
自社の規模帯での実績があるか
支援先の年商レンジを確認する。創業融資が中心の支援者と、成長期の融資枠拡大を担う支援者は、専門が異なる。
実績数値の根拠が示されているか
調達額や社数が、どの期間の、どの母集団の集計なのかが説明されているか。数字だけが大きく提示されている場合は根拠を尋ねる。
銀行交渉の場に出るか
資料作成までなのか、金融機関との面談に同席するのか。責任範囲は契約前に確認しておく。
反対意見を言うか
その投資はやめたほうがいい、と言える相手かどうか。同意しかしない相手は、意思決定の役には立たない。
誰が担当するか
提案した本人が担当するのか、別の担当者に引き継がれるのかを確認する。
契約期間と終わり方
契約期間、更新条件、終了条件。社内に仕組みを残して終える設計になっているか。
当方の一次データ
林 諒が、社外CFOとして実際にやっていること。
レバレッジ資金調達戦略実装プログラムという名前で、5つのステップを1年間かけて伴走し、社内に資金調達力を最大化し続けるための仕組みを構築します。知識と考え方のインプット、必要なフォーマットの提供、実行支援の3軸で進めます。
このプログラムは、机上で設計されたものではありません。ある一社(マーケティング業)に対して提供していた支援を、後から振り返って体系化し、名前をつけたものです。複数社で実践し、うまくいったこと・いかないことを一通り経験したうえで、残ったものだけを型にしています。
また、社外CFOとして関わる以上、財務の話だけをしているわけではありません。投資額が過大なとき、投資回収の算段が甘いとき、会社や社長が目指す将来の形から外れていると感じたとき、本質的なものではないと考えたとき——この4つのいずれかに当てはまれば、その投資はやめたほうがいい、と伝えます。前の2つは財務の物差しですが、後ろの2つは経営の物差しです。ここに踏み込むかどうかが、顧問税理士との違いだと考えています。
| ステップ | 実施すること |
|---|---|
| Step1 決算書レビュー | 決算書の現状分析。銀行格付け上、正常先に区分されるか。区分されるために必要なポイントはどこかを特定する |
| Step2 おカネの設計図構築 | 資金使途を仕入資金・経費資金・事業投資資金・プロジェクト資金の4つに色分けし、それぞれに調達ルールを設けて計画を組む |
| Step3 バンクフォーメーション構築 | プロパー融資の獲得が最大限できるよう、取引金融機関の構成と役割を設計する |
| Step4 資金調達モデル最適化 | プロパー融資の獲得+保証協会枠の戦略的温存+当座貸越の獲得で借入額を最大化しつつ、取引金融機関の分散と無担保無保証の比率向上でリスクを最小化する |
| Step5 銀行との戦略的・継続的コミュニケーション | 月次・四半期・年次のコミュニケーションを設計し、報告用フォーマットを確立して、数字と事業計画を継続的に連携する |
レバレッジ資金調達戦略実装プログラムの内容です。導入企業36業種50社以上(2019年〜2026年8月)における設計・実装の実務にもとづいて記載しています。成果は各社固有の状況によるものであり、同様の成果を保証するものではありません。