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林 諒成長企業の社外CFO / 税理士

30億円へ

10億円を超えた会社が、次に変えるもの

年商10億円前後まで到達し、30億円を目指している企業を対象にしたページです。3億円から10億円を目指す段階とは、財務の論点が変わります。

年商10億円を超えると、財務は「社長が見るもの」から「会社として運用する機能」へ変わります。投資の一件あたりの金額が数億円になり、取引金融機関が3〜5行に増え、意思決定に説明責任が伴うようになるためです。このとき必要になるのは、融資を有利に取る技術ではなく、経営戦略を実行できる財務体制を先につくることです。

  1. 01

    銀行取引は、借りることから設計することへ変わる。メインバンクを借入残高で決めない。

  2. 02

    論点は「資金を確保できるか」から「資金をどう配分するか」へ移る。

  3. 03

    財務責任者の職能は、経理にも顧問税理士にもない。人ではなく機能が不足している。

なぜ、いま

なぜ、10億円で財務体制を変えるのか

10億円までは、社長の判断力で到達できます。問題は、その先で判断の質が落ちることではありません。判断の量と速度が、一人の可処分時間を超えることです。


年商10億円前後の会社では、投資の一件あたりの金額が数千万円から数億円へ上がります。拠点を出す、設備を入れる、人を採る、事業を買う。判断を誤ったときに会社が受ける影響が、以前とは桁で違ってきます。

同時に、判断の回数も増えます。社長が営業も見て、採用も見て、そのうえで銀行対応と資金繰りを一人で抱えている。この状態では、財務は「急ぎの用件が起きたときだけ考えるもの」になります。設計する時間が、構造的に確保できません。

財務体質の改善には、決算期をまたぐ時間がかかります。利益の蓄積も、純資産の厚みも、銀行との取引実績も、数か月では積み上がりません。一方で、成長機会は突然やってきます。必要になってから準備を始めると、機会そのものが他社に渡ります。

だから、10億円を超えた段階で変えます。30億円になってから30億円企業の財務をつくるのでは、間に合わないためです。

財務を、社長が見るものから、会社が運用する機能へ。

変わるもの

3億→10億と、10億→30億は何が違うのか

同じ「成長企業の財務」でも、この2つの段階では扱う論点が異なります。前の段階のやり方を延長しても、次の段階には届きません。


3億 → 10億10億 → 30億
財務は社長と顧問税理士が見る財務を会社の機能として置く
一行中心。複数行化に着手する3〜5行の役割分担を設計する
保証協会付きが中心プロパー・当座貸越・借入構成の設計
投資は数千万円単位投資は数億円単位
意思決定は社長単独社長と幹部。説明責任が伴う
数字は過去の確認に使う数字は将来の意思決定に使う
論点は「資金を確保できるか」論点は「資金をどう配分するか」

最も大きな違いは、最後の行です。3億円から10億円の段階では、資金を確保できるかどうかが論点でした。10億円を超えると、一定の調達はできるようになります。そこから先の論点は、確保した資金をどこに配分するかに移ります。

この違いは、必要な相手も変えます。調達の可否が論点である段階では、融資の実務に強い相手が役に立ちます。配分が論点になる段階では、経営戦略と財務を接続できる相手が必要になります。

考え方

3億 → 10億 → 30億

成長ステージごとに、経営管理・キャッシュ・銀行取引・資金調達・組織・CFO機能がどう変わるか。3段階の全体像はこちらに整理しています。

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銀行取引

借りることから、設計することへ

取引金融機関が3〜5行になった段階で必要になるのは、交渉の巧拙ではなく、役割分担と借入構成の設計です。銀行が相手だからではなく、自社の資金の形を決める作業だからです。


  1. 取引金融機関の役割を決める

    メインバンク、準メイン、その他。すべてを同じように扱うと、どの銀行も踏み込んでこなくなります。どこに主要な情報を渡し、どこに何を期待するかを先に決めます。

  2. メインバンクを、借入残高で決めない

    最も多く借りている銀行が、最も自社を理解している銀行とは限りません。事業を理解し、成長局面で踏み込める先はどこか。この観点で選び直します。

  3. 既存借入の構成を点検する

    長期と短期、証書貸付と当座貸越、保証協会付きとプロパー、担保と保証、返済時期の集中。借りられた順に積み上がった構成は、たいてい偏っています。

  4. 返済時期の集中を分散させる

    同じ時期に複数の返済が重なると、投資判断ができる余地が消えます。借換や条件変更を含めて、資金繰りに余白をつくります。

  5. 資金使途ごとに調達の形を対応させる

    運転資金、設備資金、投資資金。それぞれに適した借入形態があります。すべてを証書貸付で賄うと、返済負担が実態と合わなくなります。

銀行が悪いわけではありません。銀行には銀行の評価の仕組みがあり、それは公開された制度と実務上の慣行の両方で成り立っています。問題は、その仕組みを前提に自社の側を設計していないことです。

実務ガイド

銀行融資と資金調達の実務

銀行がどう評価するか、条件をどう良くするか、銀行取引をどう設計するか。実務ガイド8本を、経営者が実際に直面する順序で整理しています。

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資金の配分

手元資金を、どう持ち、どう配るか

30億円を目指す過程では、成長投資・内部留保・返済の3つに資金を配分し続けることになります。この配分に方針がないと、判断のたびに議論が振り出しに戻ります。


手元資金をいくら持つべきかに、一律の正解はありません。業種、ビジネスモデル、資金の回転期間によって必要な水準が変わるためです。決めるべきなのは金額そのものではなく、何のためにいくら確保しておくかという区分です。

運転資金として常に持っておく分、投資の機会に備えて空けておく枠、不測の事態に備える分。これを分けずに一つの残高として見ていると、投資の判断のたびに「使ってよいのか」が分からなくなります。

大型投資の判断も同じです。採用、広告、設備、拠点、M&A、新規事業。それぞれ回収の期間も確度も違います。同じ「投資」として一括りに議論すると、金額の大きさだけで判断することになります。回収期間と、失敗したときに会社が耐えられるかどうか。この2つを先に決めておくと、個別の判断が速くなります。

経営管理

数字を、資料から意思決定へ

予算を作っているのに予実管理が機能していない会社は少なくありません。多くの場合、原因は精度ではなく、使い道が決まっていないことです。


予実が回らない典型は、月次の差異を確認して終わることです。差異の理由を説明できても、その場で次の一手が決まらなければ、資料を作る作業にしかなりません。

経営会議も同じです。数字が配られているのに議論が数字に基づいていない会議は、多くの場合、見ている単位が粗すぎます。全社の損益しかなければ、誰も自分の担当として発言できません。部門別、案件別、担当者別まで分解して初めて、数字は当事者のものになります。

年商10億円を超えると、社長がすべての現場を見ることはできなくなります。数字が組織で共有されている状態は、管理のためではなく、社長が見ていない場所で正しい判断が起きるために必要になります。

財務責任者機能

財務責任者機能を、どう確保するか

経理担当者がいて、顧問税理士もいる。それでも財務責任者が必要になるのは、人が足りないからではなく、担う職能が社内にないからです。


経理は取引を記録します。税理士は税務を確定させます。いずれも、過去の数字を正確にする仕事です。どちらも欠かせませんが、扱う時間軸が違います。

財務責任者が担うのは、将来の資金をどう確保し、どこに配分し、その結果を数字でどう管理するかという意思決定です。過去を正確にする職能と、将来を設計する職能は別のものです。

この機能を社内に置くか、外部から確保するか。判断材料を並べると次のようになります。

常勤CFOを採用する社外CFOを使う
自社の事情を最も深く理解できる複数社の実務を横断して見ている
いつでも社内にいる関与は月数回。日常業務は担わない
採用の難易度と報酬水準が高い採用を伴わない。期間の調整がしやすい
業務量が満たない場合、機能が余る必要な範囲だけを確保できる
組織の一員として意思決定に加わる外部の立場から反対意見を言いやすい

採用できるのであれば、常勤CFOが最も望ましい形です。ただし、CFO人材の採用は難易度と報酬水準の両面でハードルが高く、年商10億円前後では常勤で置くほどの業務量がない場合もあります。

この規模の会社で外部に求められる能力は、財務の知識そのものではありません。同じ規模帯の経営に実際に入った経験、銀行団をまとめられること、投資判断に加われること、そして反対意見を言えること。この4つが揃っているかどうかで決まります。

サービス

社外CFOとは

役割、費用相場、税理士との違い、選び方。あわせて、林 諒が提供する社外CFOの関与範囲と料金(月額50万円〜)を掲載しています。

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事例

年商約30億円の会社で、実際に行ったこと

経営管理が会社の規模に追いついておらず、毎月の資金繰りに不安を抱えていた企業の事例です。この規模で何を整え、何を設計したかが具体的に分かります。


経理工数を削減して翌月15日までの月次決算を実現し、部門別P/L、営業担当者別の粗利管理、毎月の経営会議を整備しました。並行して財務戦略を設計し、金融機関を開拓。ひとつの資金調達プロジェクトで、3行合計6.5億円の当座貸越枠を半年で構築しています。年商は約40億円まで伸びました。

事例

モビリティサービス業|年商 約30億円 → 約40億円

月次決算の早期化、部門別P/L、経営会議の整備から、3行合計6.5億円の当座貸越枠の構築まで。着手前の状況と、変えた順序を記載しています。

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根拠

なぜ、この立場で関われるのか

社外CFOは、財務の知識があれば務まる役割ではありません。経営の意思決定に、外部の立場で入ることになるためです。


上場企業の社外監査役

アイエーグループ株式会社(東証スタンダード市場・証券コード7509)の社外監査役を、2023年6月より務めています。取締役会に出席し、経営の意思決定を監査する立場です。この経歴は有価証券報告書で確認できます。

年商10億円を超えると、意思決定は社長ひとりのものではなくなります。幹部が増え、取締役会が実質的に機能し始め、投資判断に説明責任が伴うようになる。その場で使われる言語を外部の立場で経験していることは、この規模の会社にとって、実務能力と同じくらい重要になります。

税理士

税理士登録番号 140050。日本税理士会連合会の税理士情報検索サイトで確認できます。税務判断と財務戦略を、分断せずに提供できます。

KPMG税理士法人 M&A部門

M&A関連の財務・税務分析に150社以上関与しています(2015年〜、KPMG在籍時を含む)。10億円から30億円への成長がM&Aを含む場合、買収の財務・税務と、買収後の資金調達を一続きで設計できます。

確認方法

上記3点は、いずれも第三者が確認できる情報です。有価証券報告書、日本税理士会連合会の税理士情報検索サイト、および各社の公表資料をご確認ください。

案件の規模

案件の規模

累計額ではなく、1件あたりの規模です。必要な金額は会社の状況によって異なりますが、どの程度の規模の案件を扱ってきたかを示します。


独立後(2019年〜)

KPMG税理士法人 M&A部門 在籍時(2019年以前)

  • 36億円

    LBOローン

    KPMGが財務・税務・FA(ファイナンシャル・アドバイザー)としてトータルでアドバイザリーを行ったM&A案件。林 諒は財務税務アドバイザリーチームの一員として従事。

Notes独立後の金額は、林 諒が支援した企業が金融機関から調達した融資・当座貸越枠等の、個別案件の金額です。累計デットファイナンス支援40億円超の内訳にあたります。KPMG税理士法人 在籍時の案件は、上記40億円には含みません。組織として受任した案件であり、林 諒個人の実績として示すものではありません。調達できる金額は、会社ごとの状況および金融機関の判断によって異なります。

質問と回答

よくあるご質問


年商10億円を超えていませんが、早すぎますか。
早すぎるということはありません。財務体質の改善は決算期をまたぐため、必要になってから着手すると間に合わないためです。ただし、年商3億円から10億円の段階では論点が異なります。その場合は「3億 → 10億 → 30億」のページをご覧ください。
経理担当者も顧問税理士もいます。それでも財務責任者が必要ですか。
職能が異なります。経理は取引を記録し、税理士は税務を確定させます。いずれも過去の数字を正確にする仕事です。財務責任者が担うのは、将来の資金をどう確保し、どこに配分するかという意思決定です。人が足りないのではなく、担う職能が社内にないという状態です。
常勤のCFOを採用するのと、どちらがよいですか。
採用できるのであれば、常勤CFOが最も望ましい形です。ただし、CFO人材の採用は難易度と報酬水準の両面でハードルが高く、年商10億円前後では常勤で置くほどの業務量がない場合もあります。社外CFOは、その段階で必要な財務機能を確保するための選択肢です。
銀行との関係は良好です。それでも取引の見直しが必要ですか。
関係が良好であることと、成長を支える構成になっていることは別の問題です。借りられた順に積み上がった借入は、返済時期が集中していたり、担保が偏っていたりすることが少なくありません。関係を壊さずに構成を整えることが目的です。
何から着手すべきですか。
会社の状況によりますが、多くの場合は現在地の確定からです。過去3期の財務、当期業績、借入の内訳、取引金融機関の構成を整理し、いま何ができて何ができないかを数字で確定させます。設計はそのあとです。

本ページの記載は、支援経験にもとづく一般的な整理です。実際に必要となる水準は、業種、ビジネスモデル、資金の回転期間などによって大きく異なります。融資の可否・金額・条件は、会社ごとの状況および金融機関の判断によって異なります。

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