2つは、何がどう違いますか。
財務顧問は、会社の財務機能を外部に持つサービスです。社外CFOは、その財務機能を起点として、経営そのものの意思決定に関与します。扱う範囲と、負う責任の重さが異なります。
| 財務顧問 | 社外CFO |
|---|---|
| 財務・銀行・資金調達を担う | 財務を起点に経営領域まで踏み込む |
| 数字を整え、資金を確保する | 数字をもとに意思決定に関与する |
| 経営会議には必要に応じて参加 | 経営会議の設計と運営に関わる |
| 主に年商3億円〜 | 主に年商10億円〜 |
| 月額20万円〜 | 月額50万円〜 |
年商規模で、どちらを選ぶか決まりますか。
目安にはなりますが、決め手にはなりません。年商10億円前後が一つの分岐点ですが、それは業務量の目安であって、必要性の基準ではないためです。
10億円という数字に意味があるとすれば、それは会社の成長フェーズが変わる地点だからです。優秀な経営者であれば、そこまでは自らのマンパワーで到達できます。しかしその先は、社長個人の力の延長では届かない領域に入ります。社長の限界が会社の限界になっている状態から抜け出す必要が出てくるのが、この規模です。
実務的な分かれ目は、経営者が現在どの問いを抱えているかです。「必要な資金をどう確保するか」であれば財務顧問の領域です。「この投資をすべきかどうか」「どの事業に資源を配分するか」まで含めて一緒に考えたいのであれば、社外CFOの領域になります。
| いま抱えている問い | 適するのは |
|---|---|
| 銀行から必要な額を調達できるようにしたい | 財務顧問 |
| 決算書を将来の調達力から逆算して作りたい | 財務顧問 |
| 取引金融機関の構成を組み直したい | 財務顧問 |
| 当座貸越などの融資枠を確保したい | 財務顧問 |
| この投資をすべきかどうかを一緒に判断したい | 社外CFO |
| 予算と予実管理の仕組みを経営に組み込みたい | 社外CFO |
| 経営会議を機能させたい | 社外CFO |
| 幹部が数字で議論できる状態をつくりたい | 社外CFO |
| 社長が現場から抜けられる状態をつくりたい | 社外CFO |
社内に経理担当者がいない場合は、どちらですか。
まず財務顧問から始めるほうが現実的です。経営の意思決定に数字を使うには、その前提として、月次の数字が適時に出る状態が必要になるためです。
月次試算表が2か月、3か月遅れで出てくる状態では、経営会議で扱える数字がありません。実際に、顧問税理士による月次会計が3か月以上遅れており、さらに決算整理によって試算表から大きく利益が動いてしまう構造のために、決算ぎりぎりにならないと損益が読めないという会社もあります。この状態では、金融機関に対しても期中の説明ができません。
順序としては、財務顧問で数字が出る体制を作り、そのうえで意思決定への関与が必要になった段階で社外CFOへ移行する形が、無理のない進め方だと考えています。
途中で切り替えることはできますか。
できます。実際には、財務顧問として関与を始め、会社の規模と論点の広がりに応じて社外CFOへ移行する例のほうが多くなります。
逆に、社外CFOとして経営に深く関与した後、社内に常勤の財務責任者を採用できた段階で、財務顧問として関与の度合いを下げる形もあります。外部の関与は増やす方向にも減らす方向にも調整できるものだと考えています。
どちらにも当てはまらない場合は、どうすればよいですか。
資金調達の仕組みを期間を区切って自社に実装したい場合は、レバレッジ資金調達戦略 実装プログラムという選択肢があります。継続的な顧問契約ではなく、1年間で方法論を社内に移す形です。
また、税務顧問から見直したい場合は、税務と財務を一体で提供する「成長企業の税務・財務顧問」があります。どの形が適しているかは、現在の決算書と借入の状況を見れば概ね判断できます。
当方の一次データ
外部の財務パートナーに、何を期待すべきか。
業務の代行ではなく、社長の頭の中を同じ解像度で共有できているかどうかです。ある支援先の社長から言われた「林さんは自分の脳内シェアができているから、一緒に仕事をしたいと思う」という言葉が、この仕事の本質をよく表していると考えています。
脳内シェアとは、社長の頭の中にある構想、不安、優先順位を、同じ解像度で共有できている状態のことです。専門知識の提供者ではなく、社長の思考の共同保有者という位置づけです。
この状態になって初めて、財務の助言が経営の判断として機能します。逆に、数字だけを見て意見を述べる関係のままでは、どれだけ正確な分析でも意思決定には届きません。社長が何を実現しようとしていて、何を怖れているのかを知らなければ、その投資をすべきかどうかは判断できないからです。
そしてもう一つ、期待すべきなのは、反対意見を言うかどうかです。ダメだと思ったこと、懸念を感じたこと、ブレーキをかけるべきだと考えることは、迷わず伝える。それで解約になったらそれまで——本当の意味で社長のために働くのであれば、それが必要なことだと考えています。同意しかしない相手は、意思決定の役には立ちません。
なお、レバレッジ資金調達戦略というサービスも、机上で設計したものではありません。あるマーケティング業の会社1社に提供していた支援を、後から振り返って体系化し、名前をつけたものです。複数社で実践し、うまくいったこと・いかないことを一通り経験したうえで、残ったものだけを型にしています。再現性の根拠は理論ではなく、実装済みの型にあります。
林 諒自身の支援経験にもとづく考え方です。支援先の社名は開示していません。