本文へスキップ
林 諒成長企業の社外CFO / 税理士

資金調達力

資金調達力。

資金調達力とは、必要なときに、必要な金額を、適切な条件で調達できる会社の力です。一度融資を受ける能力ではなく、将来にわたって成長資金を継続的に調達できる状態をつくることを意味します。収益力、財務体質、資金繰りの見通し、銀行取引の構造、説明力、継続性という6つの要素で構成されます。

  1. 01

    資金調達はゴールではなく、借り続けられる状態がゴール。

  2. 02

    「今借りられる」は「未来も借りられる」を意味しない。

  3. 03

    最終的に増やすのは借入金ではなく、経営者の選択肢。

定義

資金調達力とは、必要なときに、必要な金額を、適切な条件で調達できる会社の力である。

資金調達力の定義

より本質的には、成長資金を継続的に調達し、経営者が自由に使えるキャッシュと経営の選択肢を増やす力のことです。

違い

「一度借りられる」と「調達し続けられる」は違う

融資が実行された事実と、資金調達力があることは同じではありません。両者の差は、次のような形で表れます。


資金調達力がある状態その場しのぎの調達
必要になる前に調達の準備が終わっている必要になってから銀行を回る
複数行が競合的に提案してくる一行の回答がそのまま結論になる
資金使途ごとに借入形態を使い分けるすべて同じ形態で借りる
プロパー融資と当座貸越枠がある保証協会付きの証書貸付のみ
決算前に着地と対策を確認している決算が出てから結果を知る
業績が悪化した期も説明ができる悪化した期に説明材料がない
調達可能額を自社で把握しているいくら借りられるか分からない
資金調達はゴールではない。借り続けられる状態がゴール。

構成要素

資金調達力を構成する6つの要素

どれか一つだけを整えても、調達力は上がりません。相互に関係しているため、順序を決めて全体を組み立てます。


  1. 収益力|利益が継続的に出ているか

    営業利益、経常利益、そして返済原資となる利益とキャッシュ。単年ではなく、複数期にわたって安定しているかが見られます。

  2. 財務体質|自己資本が厚いか

    純資産、自己資本比率、債務償還年数。早すぎる節税で利益を圧縮し続けると、ここが薄くなり、調達できる金額の上限が下がります。

  3. 資金繰りの見通し|将来必要な資金を示せるか

    12か月のキャッシュフロー計画、3年間の財務計画。「いつ、いくら、何のために必要か」を先に示せる会社は、条件面でも有利になります。

  4. 銀行取引の構造|どの銀行と、どう取引しているか

    取引金融機関の数と役割、プロパー融資の有無、当座貸越枠、借入形態のバランス。ここを設計することをバンクフォーメーションと呼んでいます。

  5. 説明力|数字を自社の言葉で説明できるか

    業績の変動理由、投資の回収計画、今後の見通し。決算書を出すだけでなく、経営者が自社の数字を説明できるかどうかは、評価に影響します。

  6. 継続性|平時から関係を保っているか

    資金が必要なときだけ訪問するのではなく、平時から業績を共有しているか。継続的なコミュニケーションが、いざというときの対応速度を変えます。

進む順序

高めるには、順序がある

銀行に何度も足を運ぶことから始めても、調達力は上がりません。必要資金の確定から始めます。


  1. 必要資金を先に確定させる

    経営戦略から逆算し、いつ・いくら必要になるかを出します。ここが決まらないと、調達すべき金額も決まりません。

  2. 利益とキャッシュが残る構造をつくる

    月次決算、部門別・案件別の採算管理を整え、どこで利益が出ているかを可視化します。

  3. 決算書を設計する

    必要な成長投資額から逆算して、利益、純資産、借入構造を戦略的に組み立てます。

  4. 銀行取引を設計する

    会社の成長ステージと将来の資金需要から、複数金融機関の役割・取引額・融資形態を決めます。

  5. 継続的なコミュニケーションに乗せる

    決算報告、月次の共有、事業計画の説明。関係を平時から維持し、必要なときに動ける状態にします。

「今借りられる」は、「未来も借りられる」を意味しない。

目的

最終的に増やすのは、借入金ではない


増やしたいのは、経営者の選択肢です。

資金余力があれば、採用できます。広告を出せます。仕入れられます。大型案件を受注できます。新店舗を出せます。設備投資できます。新規事業に挑戦できます。M&Aを検討できます。景気が後退したときにも慌てずに済みます。

おカネによって経営判断を制限されない会社をつくること。それが、資金調達力を高める目的です。試算表でも、決算書でも、融資そのものでもなく、その先にある経営判断の自由が、本当に必要とされているものだと考えています。

質問と回答

よくあるご質問


資金調達力とは何ですか。
資金調達力とは、必要なときに、必要な金額を、適切な条件で調達できる会社の力です。一度融資を受けられる能力を指すのではなく、将来にわたって成長資金を継続的に調達できる状態そのものを指します。
今は問題なく借りられています。それでも資金調達力を高める必要がありますか。
「今借りられる」は「未来も借りられる」を意味しません。会社が成長すれば必要になる金額は大きくなり、求められる財務水準も上がります。また、業績が良いときほど設計の選択肢が多く、条件を整えやすくなります。借りられているうちに手を打つのが最も効率的です。
借入は少ないほうが良いのではないですか。
目的によります。増やしたいのは借入金そのものではなく、経営者が選べる選択肢です。無借金であっても、成長機会が来たときに動けなければ、その機会は他社に渡ります。重要なのは借入額の大小ではなく、必要なときに必要な資金を、返済可能な条件で用意できるかどうかです。
資金調達力を高めるのに、どのくらいの期間がかかりますか。
会社の状況によって異なります。銀行取引の設計や説明資料の整備は比較的短期間で着手できますが、利益や純資産といった財務体質の改善は決算期をまたぐため、一定の期間が必要です。だからこそ、必要になってからではなく、先回りして取り組む意味があります。

本ページは資金調達に関する一般的な考え方を示すものです。融資の可否、金額、条件は、金融機関の判断および各社の状況によって異なります。特定の結果を保証するものではありません。

財務体制について相談するYouTubeで学ぶ